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『愛されなくても別に』完成披露舞台挨拶レポート📝
6月8日(日)に南沙良、馬場ふみか、井樫彩監督が登壇する完成披露舞台挨拶を行いました。
アクティングコーチの指導のもとで行ったレッスンについてや撮影中の印象的なエピソード、そして6月に誕生日を迎える南沙良さんと馬場ふみかさんへ、井樫監督からサプライズで花束が贈られるなど盛りだくさんのイベントレポートをお届けします!
この日初めての上映であり、SNSでは「2人が共に過ごす日常がとても愛おしかった」「日々感じている不安やしんどさが、少し晴れた気がします」といった高評価の声が次々と寄せられていました。
劇中で南さんが演じる陽彩(ひいろ)、そして馬場さんが演じた雅と(みやび)もども、親子関係に何らかの事情を抱えたキャラクターですが、この役を演じるにあたり、「監督とも、現場で多くを話すことはなかった」と言いながら、「井樫監督が、クランクインする前に(キャラクターの背景などが詳しく記された)資料のようなものをつくっていただいて。それがお芝居に役に立ちました」と南さんが語ると、馬場さんも「そこには小学何年生の夏休みに家族と出かけたとか。学生時代、クラスの中でどういう存在だったとか。そういうことが書かれていたんです」と詳細なキャラクターの年表があったことを明かしました。
南さんと馬場さんのふたりは、本作のクランクイン前にはアクティングコーチのもとに通い、レッスンを受けたとそうです。その時のことを馬場は「その際に、本編では描かれていなかった母親とのシーンを実際にレッスンでやらせていただいて。それ自体は、(劇中で)陽彩に話している内容のことだったんですけど、クランクインの前に同じことを一度(お芝居で)やっていたことで、演じることに対しても、雅という人物を理解するという点でも役に立った」と述懐。その意図について井樫監督も「彼女たちにとって、役をやる上で手助けになることは何だろうと思って。シーンに描かれてないこととか、そういうことが本編に影響するんじゃないかなと思い、やってもらったという感じですね」と語りました。
あらためて演技について学ぶということも、ふたりにとっても刺激的だったようで、南さんが「ワークショップに行ったことはあったんですけど、今までお芝居について座学で学ぶという機会が本当になかった。だからすごく新鮮でしたし、勉強になりました」と語ると、馬場も「台本をいただいてから、カメラの前に立つまでに、どういう順番で、どういう風に役をつくって準備していくか、ということを、机と椅子に座って話を聞いて勉強したんですけど、今まで本当にこういう機会がなくて。現場で頑張るという感じだったので、これからお芝居を続けていくにあたっても、すごく助けになりました」と晴れやかな顔を見せました。
実際に原作を読んでみた時のことを南さんが「3人が抱えているものは決して明るいものではないけど、でも悲観的じゃないというか。陽彩は原作でも、わりとずっとトゲのある悪口が出てくるんですけど、読んでほほえましい気持ちにもなりましたし、それがちゃんと一歩前に進む物語になっていて。すてきだなと思いました」と振り返ると、馬場さんも「わたしもすごくグッサリときたシーンがあって。陽彩が、雅のことを人間扱いしてくれるのが好きだというシーンがあるのですが、(それまで雅は)他人からも自分からも“女扱い”されてきたということもあって。もちろんそれは駄目なことではないんですけど、それが苦しいなと思って。そういえば自分でもそういう風に考えた瞬間があったなと思い出しました」と自身の体験も明かしました。
また南さんは印象的なシーンとして、池に浮かぶシーンをあげ、「私、水がそもそも苦手なんです。浸かるのが怖くて。気持ちの面でもそうだし、物理的にもすごく大変でした」と当時を振り返りました。撮影時にはなかなか水に浮かぶことができず、監督が横で背中を支えてくれたといい、井樫監督は「外から偉そうに見ているだけじゃダメだなと思って」と、現場で監督自ら直接体を張って撮影していたことを語った。一方、馬場さんが挙げたのは自転車の二人乗りシーン。「結構な山道で、カーブの多い下り坂。南さんを後ろに乗せて、前には軽トラに乗ったカメラがいて、その距離を保ちながら安全に運転して、なおかつセリフも言わなきゃいけない。やることが多すぎて、かなり大変でした」と撮影時の苦労を語りました。
今となっては、南さんも馬場さんも和気あいあいとした雰囲気で打ち解けている印象ですが、実は最初のうちは、ふたりとも人見知り同
士で、なかなか話せなかったというエピソードも。馬場さんが「最初はどうやってしゃべろうかなと思っていたんです
けど、毎日撮影で一緒にいることが多く、お互いの存在にどんどん慣れていく感じがあって。それが実際の陽彩と雅の関係性にもすごく反映されて、仲良くなってきたなと感じました」と振り返ると、それを補足するように井樫監督も「撮影中、気付いたらふたりが隣同士で座っていて。ただ無言で座っているのがいいなと。別に社交辞令的な会話もないし、ふたりでボソボソしゃべって、お茶を飲んでいるだけ。その空気感がすてきだなと思いました」と述懐。その言葉を聞いた馬場が「でもそうやって休憩中とか、ふたりで待っている時とかに、気付いたら井樫さんがスッと現れて。わたしたちの写真を撮って、そして去っていく、という感じでした」とコメント。その言葉に井樫監督も照れくさそうに、「けっこうその写真が大量にあります」と笑ってみせた。
くしくも6月11日は南の23歳の、そして6月21日は馬場の30歳の誕生日ということで、井樫監督よりサプライズで花束をプレゼントすることになり、これにはすっかり驚いた様子のふたり。そこで1年の抱負を尋ねられた南は「体調を崩さず健康に。去年1年もそうだったんですが、より新しいことにチャレンジしていける1年になったらいいなと思っています」とコメント。そして馬場も「ちょうど30代に入るということで。先輩方からも30代は楽しいぞとすごく言われるので、楽しみにしています。楽しく、健康な日々を営んでいきたいと思っています」と決意を語った。
そんな和気あいあいとした舞台挨拶も終盤。最後のコメントを求められた馬場が「重くて苦しい作品のように感じられるかもしれないですが、実際に観終えた後は、さわやかさだったり、ちょっとした”光”を感じられるような、そんな作品になっているんじゃないかなと思っておりますので。これから皆さまにも公開までたくさんの方に宣伝をしていただいて。いい初日を迎えられるように頑張っていきたいです」とあいさつすると、南も「本当に、生きるということだけですごく難しいことだなと、わたしは日々思っていて。そしてそう思う方もたくさんいらっしゃると思うんです。だからそういう方に届いたらいいなというか、登場人物たちの悩みや勇気、そういったものに寄り添えたらいいのではないかなと思っています。なので、たくさんの方に観ていただけたらいいなと思います」とメッセージ。
そして最後に井樫監督が「毒親というところからの起点の物語ではあるんですが、陽彩と雅というふたりの女性が、自分の人生を力強く歩んでいこうとする物語になりますので、観てくださった方の心に少しでも引っかかるものがあったら本当にうれしいなと思っております。気に入ったら是非口コミをしてくださるとうれしいです」と呼びかけて、この日のイベントを締めくくりました。